チャイコフスキー 白鳥 の 湖。 曲目解説:チャイコフスキー/バレエ音楽「白鳥の湖」

P.チャイコフスキー / 「白鳥の湖」より

チャイコフスキー 白鳥 の 湖

壮大なスケールと感動的演奏。 名匠による「白鳥の湖」3度目の録音盤を、本国オリジナル・マスターテープより新規で復刻。 国内盤の全曲版は1990年以来の再発 フィストゥラーリは1907年8月20日、キエフ生まれ。 アントン・ルビンシテインとリムスキー=コルサコフに師事した父から英才教育を受けた彼は7歳でチャイコフスキーの《悲愴》を暗譜指揮し、13歳でサン=サーンスの歌劇《サムソンとダリラ》全曲を指揮して天才少年の名をほしいままにしました。 25歳からは大歌手シャリアピンの歌劇団の指揮者として、30歳からはレオニード・マシーン率いるバレエ・リュス・ド・モンテカルロの指揮者として欧米各地で公演を指揮しました。 豊富なオペラやバレエ上演経験により、フィストゥラーリは音彩の華麗、かつダイナミックな鳴り響かせ方と、ダンサーにぴたりと付ける術を熟知していました。 戦後は自らロンドン・インターナショナル管弦楽団を創設して演奏旅行を行いながら、欧米各地の名門オーケストラ、バレエ、オペラに客演。 同時に英デッカを中心に数多くのレコード会社に録音を行いました。 英デッカへは1944年から録音を開始し、1977年まで関係が続きました。 フィストゥラーリに演奏が求められたのはバレエ音楽。 中でも《白鳥の湖》は英デッカへ3度録音した極めつけとして知られています。 1回目のロンドン響とのモノラル全曲(1952年)はLP初期のベストセラーとなり、抜粋盤や組曲盤のLPも作られたほどでした。 2回目のロイヤル・コンセルトヘボウ管とのステレオ(1961年)は46分の抜粋盤で、選曲の良さと録音の輝かしさで大評判となりました。 そして、この3回目のオランダ放送管とのステレオ(1973年)は補遺作品も含む完全全曲盤であり、20チャンネルのマルチ・マイク・システムで収録した音をアンペックスの4トラック・レコーダーで録音、2チャンネルのステレオにミックスダウンする英デッカの「フェイズ4」と呼ばれた方式により録音されました。 フィストゥラーリの指揮ぶりが、楽譜が見えるような生々しい録音で捉えられているのが特長で、ヴァイオリン・ソロに稀代の技巧家ルッジェーロ・リッチを迎えたことでも話題を呼びました。 瑞々しい音質は必聴です。 また、解説書には新規で長谷川勝英氏による解説を掲載し、オリジナル・ジャケット・デザインを採用しています。 28 は全7タイトルを発売します。

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チャイコフスキーの「白鳥の湖」の構想を練ったと言われるロシア郊外の湖

チャイコフスキー 白鳥 の 湖

「白鳥の湖」は 序奏の他に 第4幕までで構成されています。 結末や細部は版によって異なるため、ここでは、原点と言われる プティパ・イワーノフ版のあらすじをご紹介します。 序奏 オデットが花畑で花を摘んでいます。 そこへ、悪魔 ロットバルトが現れ、オデットを白鳥に変えてしまいました。 通常はこの序奏が入ります。 でも、振付家や使用する版によって物語が変化することがあり、この部分が省くこともあります。 第1幕 王宮の前庭 今日は ジークフリート王子の21歳の誕生日。 お城の前庭には王子の友人が集まり、祝福の踊りを踊っています。 そこへ王妃が現われ、明日の王宮の舞踏会で花嫁を選ぶよう、王子に言いました。 王妃にそう言われても、王子はまだ結婚する気がありません。 王子は物思いにふけり、友人たちと共に白鳥が住む湖へ狩りに向かいます。 第2幕 静かな湖のほとり。 湖では白鳥たちが優雅に泳いでいます。 月の光に照らされて、白鳥たちがたちまち娘たちの姿に変わっていきました。 その様子を見た王子は、娘たちの中でひときわ美しい オデット姫に惹きつけられます。 話を聞くと、オデット姫は、夜だけ人間の姿に戻ることができるというのです。 そしてこの呪いを解くためには、 まだ誰も愛したことのない男性に愛を誓ってもらわねばいけないことを知ります。 王子はそのことを知ると、翌日の舞踏会にオデットを招きました。 第3幕 王宮の舞踏会 舞踏会には、世界各国から花嫁候補が招かれ、王子に自国の踊りを披露します。 そこへ、ロットバルトの娘・ オディールが現われました。 妖艶で美しい彼女を王子は花嫁として選びます。 しかし、彼女はロットバルトが仕掛けたオデットに似せた女性でした。 一部始終を見ていたオデットは湖へ走り去り、白鳥達に王子の偽りを伝えます。 一方王子は、悪魔に騙されたことに気づき、嘆きます。 そして、急いでオデットの元へ向かうのです。 第4幕 もとの湖のほとり 破られた愛の誓いを嘆くオデットに王子は許しを請います。 そこへロットバルトが現われます。 王子は、敵わなくても良いと跳びかかり、激しい戦いが始まります。 激戦の末、何とか王子はロットバルトに勝利しますが、時既に遅く、白鳥たちの呪いは解けません。 絶望した王子とオデットは湖に身を投げて来世で結ばれます。 ドラマ性• 1人2役を演じきるプリマの演技力• 白鳥たちのコール・ド・バレエ ドラマ性 白鳥の湖は有名な作品ですが、ストーリーや解釈は版ごとに異なります。 そのため自分が観ている作品が、 誰の感情がどのように動き、ストーリーがどのように展開していくのか、を比較していくと楽しいと思います。 1人2役を演じきるプリマの演技力 初演時は白鳥と黒鳥は別のプリマが演じていました。 その後、プティパ・イワーノフ版の初演時に、マリインスキー・バレエ団のプリマ、ピエリーナ・レニャーニが両方を演じ、1人2役が定着しました。 技術だけでなく物語や登場人物の心情に関する深い理解が求められます。 オデットとオディールの衣装は白と黒で、その色が象徴するように性格も対照的です。 プリマには高い演技力が求められます。 観る側は、プリマの白鳥と黒鳥の演じ分けを楽しめます。 白鳥たちのコール・ド・バレエ 一糸乱れない群舞の踊りは、他のバレエ作品に比べても非常に美しいです。 群舞を堪能するために、敢えて2階や3階の席から鑑賞するバレエファンもいます。 「白鳥の湖」バリエーションの紹介と解説 今回は、各幕から1つずつご紹介します。 1幕 友人のパ・ド・トロワ 誕生日会の席で王子の友人達が踊るパ・ド・トロワです。 男性は彼の友人ベンノが務めます。 全体として明るく軽快なのが特徴。 第1バリエーションは、クラリネットのメロディから始まる、軽快ながら大人っぽい落ち着きを残した曲です。 第2バリエーションは、スタッカートの効いた、軽快な曲。 第1バリエーションより少し難易度は高いですが、どちらも初級〜中級の間ぐらいと言えるでしょう。 どちらのバリエーションでも、部分的に男性ダンサーとの掛け合いがあるのも特徴です。 こちらはマリインスキー・バレエ団の公演です。 youtube. 非常に難易度の高い踊りで、高いスキルが求められます。 バリエーション部分も回転のパから始まります。 全体的に、王子を誘惑するため、 派手な振付けになっています。 白鳥の善良な儚さと反対に、黒鳥は 自信に溢れ、人によっては見るものに 妖艶さや 挑発的な印象すら与えます。 アチチュードをしたまま、軸足のみトゥで立ったり降りたりするため、1つ1つのポーズの安定感が重要になります。 技術だけでなく、体力やスピードなどが高い次元で必要。 こちらは上級レベルのバリエーションでしょう。 参考動画はオデットと同じくザハロワ。 白鳥の違いも確認してみてください。 4幕 ディベルティスマン(各国の姫) ディベルティスマンとは、物語と関係なく挿入される踊りのことです。 本作品では、王子の花嫁候補たちが各国の踊りを披露する部分が該当します。 元々は民族衣装を模した衣装で踊っていましたが、版によってはトゥ・シューズで統一されている場合もあります。 この部分の楽曲は、ゆったりと始まり、後半部で突然テンポが上がり盛り上がって終わる構成になっていることが特徴です。 今回は、参考動画として、マリインスキーとボリショイの2種類を交互に添えています。 マリインスキーの方が華やかで民族舞踊に近く、ボリショイの方がバレエとして振付け直しています。 スパニッシュ(スペイン) エキゾチックなスパニッシュは、オディール登場の後に配置されることが大半です。 鈴の音が特徴的で、衣装としては、扇子を持つことが多くあります。 今回は、ロング丈のスカートを活かしてエレガントな振付けになったマリインスキー版を。 youtube. 1つ1つのポーズを大切になぞるような振付けとなっています。 後半、テンポが上がって盛り上がってくると、バレエのパと言うよりもチャルダッシュ的な動きが増えていきます。 今回は、アレンジと振付けが好きだったボリショイ版を。 ナポリ(イタリア) 華やかな序奏に続き、コルネットがのどかな印象を与える楽曲です。 タンバリンを片手に持ち、時々打ったり振ったりするのが特徴です。 チャルダッシュ同様、曲の後半に向けてテンポが上がっていき、パも忙しなくなります。 このマリインスキー版では、中心に男性が1人いる珍しい構成となっています。 youtube. しかし、チャイコフスキーのお気に入りの曲とも言われ、別の作品にも収録されています。 バイオリンを基調とした、物悲しくもどこか楽しそうな曲です。 後半のアップテンポな部分では手打ちも入り、一層もりあがります。 動画は、ロシア的な冠がバレエの衣装としては珍しいボリショイ版。

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チャイコフスキー 組曲「白鳥の湖」|音で映像をイメージさせる名曲 カラヤン&ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団|わたなびはじめの芸術的散歩道

チャイコフスキー 白鳥 の 湖

20 バレエの代名詞とも言える作品です。 「バレエ=白いクラシック・チュチュ(横に張り出した短いスカート)」というイメージも「白鳥の湖」から来ています。 バレエの様式は,時代が古い順にロマンティック・バレエ,クラシック・バレエ,モダン・バレエと分けられますが,「白鳥の湖」は,クラシック・バレエを代表する作品です。 音楽,振付,題材の3拍子が揃った究極のバレエと言えます。 この曲は,チャイコフスキーのいわゆる「3大バレエ」の中で最初に上演されています。 1877年にモスクワのボリショイ劇場で上演されたのですが,この時はさほど話題になりませんでした。 結局,チャイコフスキーが生きている間は話題にならなかったのですが,チャイコフスキーの死後,有名な振付師マリウス・プティパとその弟子であるレフ・イワーノフが振付を担当し,ストーリーにも手が加えられ,現在上演されているような「白鳥の湖」が完成しました。 その後は,プティパ/イワノフ版の以外にもいくつもの版で上演されてきました。 チャイコフスキーの作曲したオリジナルの音楽に忠実なブルメイステル版などの他,男性ダンサーが白鳥を踊る,マシュー・ボーン版というのも最近話題を集めています。 ストーリーは,版によって多少の違いがありますが,次のようなものです(幕の構成については4幕に分ける場合と1幕+2幕=1幕(1場+2場),3幕+4幕=2幕(1場+2場)とする2幕構成の2つがあります)。 (第1幕)ドイツの城で,王子ジークフリートが成人式を祝っています。 母から妃を選ぶことが命じられますが,王子は乗り気ではありません。 (第2幕)夜,憂鬱な気分で森に白鳥狩りに出掛けた王子はそこで白鳥が美しい女性に変身するのを目撃します。 この女性はオデットといい,王子は一目ぼれします。 オデットは「真の愛のみが悪魔の支配からオデットと大勢の娘たちを救うことができる」と語ります。 次第にオデットは心を開き,王子は明日の舞踏会に誘うことにします。 第3幕)宮廷の舞踏会の場。 王子の花嫁候補が踊りますが,王子は上の空です。 ロットバルト伯爵という貴族とその娘のオディールがそこに登場します。 王子はこのオディールに魅せられ,彼女こそ自分の花嫁だと宣言してしまいます。 その瞬間悪魔が正体を現し,王子をあざ笑って去って行きます。 王子は自分の過ちに気付きます。 (第4幕)再び湖のほとりになります。 オデットは王子の裏切りを嘆き悲しんでいます。 そこに王子が許しを乞いに来ます。 オディットは彼を許しますが,彼女が人間に戻る望みは完全に断たれました。 絶望したオディットは湖に身を投げ,王子も後を追います。 二人の愛の強さが悪魔を打ち破り,白鳥の乙女たちは人間に戻ることができました。 朝霧の中,永遠に結ばれた恋人たちを乗せた小船を湖を進みます。 このエンディングですが,版によって違いがあります。 王子ジークフリートと悪魔ロットバルトが一騎撃ちをし,王子が勝つ,というものが一般的かもしれませんが,これは,旧ソビエト時代に改変されたものです(はっきりしたハッピーエンドの方は,やはりウケが良いということでしょう)。 反対に徹底した悲劇的結末を用意した版もあるようです。 その他,演奏会用組曲としてコンサートで演奏されることもあります。 その場合,次の曲が演奏されます。 情景(第2幕)• ワルツ(第1幕)• 小さな白鳥たちの踊り(第2幕)• 情景(第2幕)• ハンガリーの踊り(第3幕)• このメロディは有名な「情景」に出てくる主題(これは「白鳥のテーマ」です)と共通した雰囲気を持ちます。 その後,弦楽器で繰り返され盛り上がって行きます。 アレグロ・ノン・トロッポの中間部の後,最初の動機が出てきて,第1幕にそのまま入っていきます。 バレエではこの辺りで幕が上がります。 王子とそのご学友が集まって,お祝いの言葉を述べているシーンです。 中間部では,ちょっと空虚な響きのする同音反復で田舎踊り風の味を出しています。 最初の華やかな部分に戻り,宴会のムードになって行きます。 2)ワルツ 王子の求めで村娘が踊るコール・ド・バレエ(群舞)です。 チャイコフスキーの書いたワルツの中でも,もっとも有名な曲の一つです。 弦楽器のピツィカートによる序奏に続いて,ワルツのリズムが出てきます。 このリズムに乗って,弦楽器がスケールの大きなメロディを優雅に歌い始めます。 中間部では,微妙に短調に変わったり,トランペットによる楽しげなメロディが出て来たり,変化に富んだ曲想を楽しめます。 最初のメロディが戻ってきて,ゴージャスなムードを高めて終わります。 3)情景 王子の母がやって来る場です。 王妃を迎える慌しいムードがオーボエなどの木管楽器で表現されています。 その後,ファンファーレが鳴り,王妃が到着します。 その後,優しいメロディが弦楽器に出て,王妃と王子の対話になります。 王子の方は花嫁探しに熱心ではないので,ちょっと沈んだムードになります。 その後,第1曲情景の音楽が出てきて,祝宴ムードが戻ります。 4)パ・ド・トロワ 王子の友人ベンノと2人の村娘による踊りです。 a)導入部 ハープのアルペジオに続いて3人が甘い旋律に乗って踊ります。 b)ヴァリアシオン1 オーボエとファゴットの二重奏で始まるスラブ舞曲風のメランコリックな曲です。 村娘2人がひきずるようなリズムに乗って踊ります。 c)ヴァリアシオン2 軽妙なポルカ風の曲で,第1の村娘が一人で踊ります。 クラリネットの楽しげなソロで始まり,最後はテンポが速くなって終わります。 d)ヴァリアシオン3 6/8のダイナミックな曲でベンノが一人で踊ります。 途中で木管楽器の掛け合いが入ります。 e)ヴァリアシオン4 第2の村娘が一人で踊ります。 スタッカートの歯切れのよいリズムに乗って踊ります。 フルートなど木管楽器が中心となって主旋律を演奏します。 f)コーダ 躍動的なリズムに乗って,元気良く,流れの良い音楽が出てきます。 3人による踊りで,次第に華やかに盛り上がって終わります。 5)パ・ド・ドゥ 王子とコートレディの2人による踊りです。 プティパ/イワノフ版では第3幕で「黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥ」として演奏されることの多い曲です。 a)導入部 力強く華やかな序奏に続いて,ヴァイオリンのG線(低音)の魅力を生かした優雅なワルツになります。 2人による踊りです。 b)ヴァリアシオン1 ヴァイオリンの独奏でチャールダーシュ風のメロディが演奏されます。 その後,木管楽器が引き継いで行きます。 この部分は2人による踊りですが,その後,アレグロにテンポが変わると王子のソロになります。 アレグロの部分でもヴァイオリン独奏が活躍します。 C)ヴァリアシオン2 コートレディ1人の踊りです。 弦楽器と木管楽器が対話をするように進むゆるやかなワルツです。 d)コーダ 2人よる踊りです。 ヴィヴァーチェの音楽で全管弦楽で力強く演奏されます。 この音楽は,通常は非常に有名な「黒鳥の32回のグラン・フェッテ(グルグルまわり続けるやつですね)」の音楽として知られています。 6)パ・ダクシオン ヴォルフガング老人が村娘を相手に踊る古風な踊り。 この老人は酒を飲んでいますので,足がもつれています。 村娘はこれを見て陽気に踊ります。 この部分からはテンポがアレグロに変わります。 演出によっては道化師が出てくることもあります。 7)シュジェ 憂鬱そうな顔をしている王子にベンノが酒をすすめます。 次の曲への序奏的な曲です。 クラリネットと弦楽器のピツィカートが対話をします。 8)乾杯の踊り 華やかなポロネーズ風の踊りです。 この曲も有名な曲です。 中間部ではボレロ風のリズムが出てきます。 キラキラとして可愛らしい雰囲気になります。 最後は,豪華絢爛たる雰囲気に戻り,宴会の場が締められます。 9)情景・終曲 「白鳥の湖」のトレードマークである「白鳥のテーマ」がオーボエに出てきます。 白鳥を追って,湖の方に出掛けようとする王子の姿を暗示しています。 ここでは希望に溢れた弦楽合奏で結ばれ,第1幕の幕が降ります。 弦とハープの伴奏の上に歌われるオーボエの旋律はクラシック音楽の中でももっとも有名なものの一つです。 これは「白鳥のテーマ」と呼ばれます。 その名のとおり,この曲を聞けば誰もが「白鳥の湖だ!」と答えます。 寂しい雰囲気が次第にダイナミックに盛り上がって行きます。 クライマックスで出てくる。 3連符は,悪魔を暗示しています。 最後は無気味な感じの弱音となって終わります。 11)情景 白鳥がオデットに変身する場面を目撃する場面です。 この娘はロットバルトに魔法を掛けられて白鳥に姿を変えられ,夜の間,湖周辺でだけ人間に戻ることが許されています。 まだ誰とも愛の誓いをかわしたことのない若者が現れ,オデットを心から愛しない限りこの状態は続くことを説明します。 この辺りは「美女と野獣」の設定と似ています。 この辺のストーリーを説明するような音楽が出てきます。 軽快に弾むような感じで音楽は始まりますが,急に不吉な感じで変わり,訴え掛けるような「オデットのテーマ」が出てきます。 このテーマは「白鳥のテーマ」の変奏です。 続いて弦楽器のピツィカートの上に優しいオーボエのメロディが出てきます。 その後,チェロが出てきて,2人が対話をするようにすすみます。 その後,第1幕のワルツと似たメロディになりますが,3連符で始まる悪魔の動機で中断されます。 この悪魔の動機が次第に大きく盛り上がります。 12)情景 白鳥の娘たちが姿を現します。 白鳥を暗示する新しい抒情的なメロディが出てきて,オーボエが再び訴えるようなアリオーソを演奏します。 オデットは,これらの白鳥たちももとは人間だったことを説明し,王子は了解します。 13)白鳥たちの踊り ここでは色々な組み合わせによる白鳥たちの踊りが続きます。 ここだけで組曲的な性格になっています。 a)テンポ・ディ・ワルツ 白鳥たちがワルツに乗って踊る群舞です。 たっぷりとした弦楽器で始まった後,木管楽器と絡んできます。 スケールの大きな雰囲気がありますが,何となく「オチ」がないようなワルツです。 b)モデラート・アッサイ オデットがソロで踊ります。 ヴァイオリンが優美で可憐なメロディを演奏し,そこにクラリネトの装飾音が加わり,盛り上がって行きます。 c)大きな白鳥の踊り(テンポ・ディ・ワルツ) (a)と同じワルツですが,前奏なしでいきなり主題が出てきます。 「大きな白鳥の踊り」と呼ばれることもあるとおり,いかにも大柄な感じのするワルツです。 d)アレグロ・モデラート(4羽の白鳥の踊り) 「4羽の白鳥の踊り」として知られている曲です。 こちらは,小さな白鳥たちの踊りです。 とても短い曲ですが,非常に有名な曲です。 4人の女性が手を交差して組んで,ちょっとコミカルだけれども技巧的に踊るシーンは誰もが見たことがあるでしょう。 ファゴットの「ポッ,ポッ,ポッ,ポッ」という伴奏に乗って,オーボエが哀愁を帯びた旋律を演奏します。 e)アンダンテ(オデットと王子のパ・ダクシオン) このバレエ中の最大の見せ場の一つです。 通常「グラン・アダージョ」と呼ばれるオデットと王子とのラブ・シーンです。 木管の和音の後,かなり長いハープのカデンツァが演奏されて曲は始まります。 その後,独奏ヴァイオリンが非常にロマンティックで甘い旋律を連綿と演奏されます。 その合間に,背景で踊るコールド・バレエ(群舞)が木管の「タタ,タタタ」という和音に合わせて踊るのですが,この響きも非常に印象的です。 しばらくして主旋律がチェロになり,独奏ヴァイオリンはオブリガートになります。 最後はテンポがアレグロになり,弦楽器と木管楽器が対話をするかのように進んで終わります。 f)テンポ・ディ・ワルツ これまで2回出てきたワルツがもう一度出てきます。 このワルツは,このダンスシーンをつなぐリフレインのような役割をしていることになります。 g)コーダ 白鳥の踊りの締めくくりらしく,元気の良いリズムを中心とした活発な曲です。 14)情景 夜が明け始め,娘たちが白鳥に戻る場です。 2人は舞踏会で再会することを約束して分かれます。 第2幕の最初に出てきた,第10曲の「情景」の音楽と全く同じものが再度演奏されます。 ティンパニの音に続き,元気の良い音楽が出てきます。 弦楽器のメロディに乗って,お客さんたちが入って来ます。 中間部では王妃,王子などが登場し,その後,再度行進曲風のメロディが戻ってきて,華やかに舞踏会の幕開けとなります。 16)コール・ド・バレエと一寸法師の踊り 式典長の合図で来賓たちの踊りが始まります。 ファンファーレの後,快活な感じの「一寸法師」の音楽が始まります(道化師役が踊ることが通例です)。 その後,バグパイプの音を真似たような田舎風の踊りが続きます。 17)情景 トランペットのファンファーレが出てきて,新しいお客さんの到着を告げます。 各国から招かれた王子の6人の花嫁候補が入ってきます。 「花嫁たちのワルツ」と呼ばれるワルツと先に出てきたファンファーレとが繰り返し演奏されます。 途中ダイナミックに姿を変えますが,最後は,最初と同じようなワルツに戻って終わります。 18)情景 軽快な音楽に乗って,王妃は王子に,どの候補が気に入ったかを尋ねますが,王子は上の空です。 突然,トランペットとトロンボーンがファンファーレを演奏し,ロットバルトとオディールが登場します。 オディールのテーマは,白鳥のテーマと似た音楽ですが,これはオディットととても似ていることを音楽的に示したものです。 19)パ・ド・シス ここからは先ほど登場した6人の王女候補が踊ります。 a)導入部 弦楽器とフルートによって軽快に主旋律が演奏されます。 b)ヴァリアシオン1 クラリネットの独奏が楽しげに活躍する曲です。 管弦楽での演奏が続いた後,今度はフルート独奏に主旋律が移ります。 c)ヴァリアシオン2 弦のピツィカートの伴奏の上に管楽器群が哀愁に満ちた民謡風のメロディを演奏します。 d)ヴァリアシオン3 モデラートの優美なメロディが弦楽器で演奏されます。 e)ヴァリアシオン4 全管楽器と全オーケストラとがアレグロで掛け合いをする力強い曲です。 f)ヴァリアシオン5 ハープのカデンツァの前奏に続いてオーボエが東洋的な短調のメロディを歌います。 その後,テンポが速くなり,全奏で力強く結ばれます。 g)コーダ アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェの快活な音楽です。 付加曲 パ・ド・ドゥ この4曲からなる付加曲は1953年に発見されたものです。 王子とオディールによるパ・ド・ドゥの音楽です。 a)導入部 弦楽合奏を中心とした物憂い序奏の後,独奏ヴァイオリンが甘いメロディを歌います。 王子とオディールのパ・ド・ドゥに相応しいムードを作り出して行きます。 b)ヴァリアシオン1 6/8拍子のいかにも踊りやすそうな曲です。 金管楽器が勇壮なメロディを歌い,弦楽器がその後を受け継ぎます。 どこかショパンのマズルカを彷彿させるような曲です。 c)ヴァリアシオン2 低弦のリズムの上に無窮動風の細かい音の動きをもったメロディが弦楽器に出てきます。 木管楽器がこれに可憐に絡んできます。 d)コーダ 民族的な雰囲気を含む軽快なメロディが展開し,華やかにパ・ド・ドゥを結びます。 中間部では,トランペット,クラリネット,グロッケンなどが登場し色彩感が豊かになります。 20)ハンガリーの踊り ここからの5曲は,いろいろな民族舞曲が続きます。 いろいろなソロ楽器が登場する上,テンポが速くなって盛り上がる曲が多いので,「ディヴェルティスマン」という言葉どおり,気楽に楽しめるコーナーです。 最初に出てくるのは,チャールダッシュです。 ご挨拶をするような感じの序奏に続いて,哀愁を帯びたメロディがゆったりとヴァイオリンで歌われます。 途中,リズムが活発になり,テンポが急に速くなります。 そのまま熱狂的に結ばれます。 追加曲 ロシアの踊り 「ジャン」という一撃の後,独奏ヴァイオリンがかなり技巧的でカデンツァ風の長い序奏を演奏します。 その後,弦楽器のピツィカートの上に独奏ヴァイオリンが民族的な味のある短調のメロディを歌います。 最後はテンポが速くなります。 ここでも独奏ヴァイオリンが活躍しますので,この曲は,ほとんどヴァイオリン独奏のための小品のようです。 この曲は,チャイコフスキーも大変気に入っており,「中級程度の12の小品」の第10番にも加えられています。 21)スペインの踊り カスタネットなども加わったボレロのエキゾティックなリズムが一貫して続く楽しい曲です。 管楽器に出てくる主旋律もエキゾティックで,魅力的です。 最後の方ではテンポがさらに軽快になり,華やかに結ばれます。 22)ナポリの踊り 序奏の後,コルネットが気持ち良さそうにナポリ風の歌を歌います。 チャイコフスキーはイタリア奇想曲という曲を作っていますが,その曲などを彷彿とさせます。 後半はプレストになり,タランテラ舞曲になります。 コルネット奏者の見せ所となる曲です。 23)マズルカ 力強いポーランドの踊りです。 華やかな打楽器のリズムを伴ったマズルカの主旋律の後,クラリネット二重奏を中心としたトリオになります。 24)情景 王子がオディールを婚約者に選ぶと王妃に告げる場です。 音楽は18曲のファンファーレまでの音楽が再度演奏された後,第17曲のワルツになります。 王子はオディールをダンスに誘います。 ロットバルトは,王子にオディールに永遠の愛を誓うように命じます。 王子がオディールに接吻すると,舞台が一瞬真っ暗になり,ロットバルトは悪魔の本性を現します。 王子は窓辺にオデットの姿を見ます。 白鳥のテーマが全管弦楽で力強く演奏され劇的な盛り上がりを見せる中,ロットバルトとオディールは退場し,王子はオデットを追って湖に向います。 ハープのアルペジオが出た後,木管楽器が交互にこのメロディを演奏します。 この曲は,チェイコフスキーのオペラ「地方長官」の中から転用されたものです。 26)情景 オデットの帰りを不安げに待つ白鳥たちの様子を描いています。 前曲の主題を発展させた軽やかなメロディに次第に不安の影が入ってきます。 自分たちの運命をオデットと王子の愛に託していた白鳥たちの不安を表すようです。 ハープのアルペジオの後,次の曲に移って行きます。 27)小さな白鳥たちの踊り 白鳥たちが不安な感情を和らげるために踊る場です。 物悲しげなメロディがクラリネットで演奏されます。 このメロディが弦楽器でも繰り返されます。 続いてオーボエに魅力的な歌が出てきます。 その後もひっそりとしているけれども印象的な音楽が続きます。 最後はティンパニの音で結ばれます。 28)情景 オデットが湖に戻って来て,王子の裏切りを仲間に語る場です。 白鳥たちはオデットを慰めます。 緊迫したせわしない音楽でオディットが戻って来たことを示した後,ドラマティクな雰囲気になります。 その後,木管楽器と弦楽器の対話になります。 弦楽器のゆったりとしたメロディになり,白鳥たちがオデットを慰める様子を描写します。 ティンパニの音が急に鳴り,嵐の到来を告げる音楽になります。 暗雲がたちこめ,雷鳴がとどろきます。 ティンパニの連打が出て来て,次の終曲へとつながって行きます。 29)情景・終曲 流れるようなスケール感を持ったメロディが弦楽器に出てきた後,ホルンが力強く引き継ぎます。 悲壮感を持った王子の登場を描いています。 ハープのアルペジオの後,テンポが速くなり,オーボエに白鳥のテーマが出てきます。 王子はオディットに許しを乞います。 オディットも王子を許します。 そこにロットバルトのテーマが出てきます。 白鳥のテーマは次第に悲壮感を漂わせてきて,大きく盛り上がります。 オデットと王子は湖に沈んでしまいます。 その後,金管楽器を中心として力強く白鳥のテーマが長調で演奏され,2人の死を越えた愛の力が悪魔を征服したことを暗示しています。 これでもかこれでもかと大げさな音楽が続きますが,これがチャイコフスキーの音楽の魅力です。 バレエ全体のクライマックスとなります。 終結部では,高音の弦とハープが美しいトレモロを演奏し,平和な世界が戻ってきます。 嵐が収まり,月明かりの中で,人間に戻ることのできた白鳥たちが,天に昇るオデットと王子の魂を見守ります。 管楽器の和音が繰り返し重なってきて,重厚な雰囲気の中で全編の幕となります。 (参考文献)作曲家別名曲解説ライブラリー;8.チャイコフスキー.音楽之友社,1993.

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