フランケル 分類。 脊髄損傷

■ 脊髄損傷の評価尺度

フランケル 分類

交通事故・労災事故で脊髄損傷を負われた方は,是非,脊髄損傷に強い当事務所にご相談ください。 後遺障害の等級認定もサポートします。 【目次】 1 脊髄損傷とは,脊髄とは 1)脊髄損傷とは 脊髄損傷とは,脳から続く中枢神経である 脊髄が,強い外力を受けて損傷し,運動・感覚・自律神経に麻痺や障害を生じた状態を言います。 重篤な後遺障害を残す場合が少なくありません。 脊髄は一度損傷されると修復・再生されないため,回復は見込めず,残存機能の維持・強化を図るリハビリテーションが重要となります。 脊髄は, 頚髄(頸髄)・胸髄・腰椎・仙髄・尾髄に区分されます。 頚髄(頸髄),胸髄,腰髄などの損傷も脊髄損傷に含まれます。 交通事故・転落などの高エネルギー外傷による場合が大半ですが,近時は高齢者の転倒による場合も増えています。 2)脊髄とは 脊髄とは,脳から続く中枢神経です(下図)。 脊柱(背骨)を構成する椎骨(脊椎)の中の,椎孔(集合で脊柱管)と呼ばれる空間を通っています。 上図左より「脳と脊椎・脊髄」「脊椎・脊髄の種類」「脊椎・脊髄の側面図」(以上3つは側面図)「脊椎(胸椎)を上から見た図」(上右端)「脊髄の断面図」(右下)(以上2つは上から見た図) 脊髄から枝分かれした脊髄神経が,椎骨(脊椎)間の隙間の 椎間孔から出ています。 脊髄も,脊椎の椎間孔・脊髄神経に対応して31の脊髄分節に分かれています。 なお,頚椎(頸椎)がC1~C7の7つであるのに対して,頚髄(頸髄)はC1~C8と1つ多く,高位は下図のようにズレがあります。 例えば,C5/6の椎間板が後方突出して脊髄を圧迫する場合,圧迫される髄節はC7になります。 ズレは,下部に行けば,一層大きくなり,腰髄があるのは胸椎の高位になります(上図左から2番目)。 3)脊髄損傷による障害の部位と範囲 個々の脊髄分節・脊髄神経は,身体の決まった皮膚領域(デルマトーム)と対応しています。 かかる対応やMRI画像などにより,どの高さで脊髄損傷を受けたか診断することを, 高位診断と言います。 脊髄は,脳から身体に信号を伝達し,身体からの信号を脳に伝達しています。 このため, 上位の部位が損傷するほど,損傷部位から下の部位との連絡が阻害され,運動・知覚・自律神経の障害範囲が広くなります。 たとえば, 第3頚髄節(C3)以上の脊髄損傷(頚髄損傷)による麻痺の場合,横隔膜の機能が損なわれ,自発呼吸ができなくなり,人工呼吸器を使うことになります。 横隔膜は第3~第5頚髄節(C3~C5)に支配神経がありますので,逆に,C4以下の脊髄損傷の場合は,横隔膜の機能がどの程度残存しており維持できるかが,重要になります。 2 脊髄損傷の種類(分類) 1)完全損傷,不完全損傷 損傷の程度による分類です。 交通事故でも労災でも, 後遺障害の等級認定で重要です。 完全損傷 完全損傷は,脊髄を横断した脊髄損傷により,脊髄の神経伝達機能が完全に壊れた状態です。 運動麻痺・感覚麻痺(知覚麻痺)の両方が報じます(完全麻痺)(フランケル分類・ASIAスケール「A」)。 ・脳からの命令が届かず,運動機能が失われます(運動麻痺)。 ・脳に情報を送られず,知覚機能も失われます(知覚麻痺)。 不完全損傷 不完全損傷は,脊髄の一部が損傷し,一部機能が残った状態です。 僅かな知覚機能のみ残ったもの(運動完全麻痺,フランケル分類・ASIAスケール「B」)から,ある程度運動機能も残ったものまであります。 2)Frankel分類とASIA機能障害スケール 脊髄損傷の臨床医学上の重症度評価の区分では, Frankel分類(フランケル分類)とASIA機能障害スケールが著名です。 GradeAが完全麻痺,B~Dが不完全麻痺です。 Grade フランケル Frankel 分類 ASIA機能障害スケール A 運動・知覚の完全麻痺(障害レベル以下) S4・5まで運動知覚が完全喪失 B 運動完全麻痺(部位同上),知覚残存 運動完全麻痺,知覚はS4・5で残存 C 非実用的な運動残存,歩行不能 障害レベル以下で運動機能(筋力3未満) D 実用的運動残存(多くは歩行可能) 障害レベル以下で運動機能(筋力3以上) E 回復(反射異常は残ってもよい) 運動・知覚とも正常 3)四肢麻痺,対麻痺,片麻痺,単麻痺 症状範囲による分類です。 後遺障害の等級認定において重要です。 両上肢・両下肢の麻痺が残る場合。 両下肢に麻痺が残る場合 片方の上肢・下肢に麻痺が残る場合 上肢か下肢の左右1つに麻痺が残る場合 4)脊髄損傷高位と日常生活レベル 脊髄損傷による障害は,損傷を受けた高位(髄節の位置)により異なります。 損傷・麻痺の程度が重くても, 損傷部位より上位では,機能が残存します(下表の機能残存筋はMMT3以上が目安)。 部位 機能残存筋 key muscle 運動機能と ADL(日常生活活動) C1 ~3 胸鎖乳突筋 僧帽筋 四肢麻痺 全介助 人工呼吸器(自発呼吸不可) C4 横隔膜 四肢麻痺・全介助 自発呼吸 顎関節使用の電動車いす C5 三角筋 上腕二頭筋 肩の運動と肘屈曲ができる ノブ月ハンドリム標準車椅子 カフベルトで食事・歯磨き C6 橈側手骨伸筋, 大胸筋 手首をそらすことができる 寝返り動作,起居動作, 更衣 車椅子からベッドに前方移乗 C7 上腕三頭筋 橈側手根屈筋 肘を伸ばすことができる 一部介助~ほぼ自立 車いす駆動・移乗,入浴 C8 ~ T1 手指屈筋 手内在筋 手指を曲げられる 身の回り動作はほぼ自立 箸の利用,更衣のボタン実施 T12 腹筋群 胸椎部背筋群 長下肢装具とクラッチで歩行 (実用は車いす) L3 ~4 大腿四頭筋 単下肢装具(+杖)で実用歩行 【上表の主要残存筋と対応髄節】 5)麻痺が高度,中等度,軽度 症状の程度による分類です。 後遺障害の等級認定上で重要な概念です。 (医学上の概念というよりも,等級認定上の概念です。 7)脊髄の断面・神経伝達路 完全損傷の場合,損傷の縦の位置が重要ですが, 不完全損傷では,断面のどの部分が損傷を受けたのかも重要です( 横位診断)。 損傷を受けた場所と対応した部位に麻痺・障害が生じます。 高位診断と比較すると,横位診断は複雑で困難です。 ア 脊髄断面の概要 大脳は白質が内部,灰白質が外部にありますが, 脊髄では,灰白部(後角,前角,中間質など)が内部,白質(後索,側索,前索など)が外側にあります。 白質には神経線維が,灰白質には神経細胞体が集積しています。 イ 上行路と下行路 上行路は,身体から脳に向けて信号を伝達します。 上行路が損傷すると, 知覚機能(感覚機能)に麻痺・障害を生じます。 下行路は,脳から身体に向けて信号を伝達します。 下行路が損傷すると, 運動機能に麻痺・障害を生じます。 ウ 上行路(上行性伝導路)(知覚伝達) ㋐ 識別ある触圧覚・深部感覚等を伝える薄束・楔状束(後索)・・・最重要 ㋑ 痛覚・温度覚等を伝える 外側脊髄視床路 ㋒意識に上らない触圧覚( 粗大性触圧覚)を伝える 前 脊髄視床路 ㋓意識に上らない深部感覚を伝える 脊髄小脳路 【上行路(上行性伝導路)(右側は対応部位)】 方向 脊髄の部位 伝える感覚 同対 上行路 薄束・楔状束 識別性触圧覚 同側 外側脊髄視床路 温痛覚 対側 前脊髄視床路 粗大性触圧覚 対側 脊髄小脳路 非識別性深部感覚 (下半身) 対側 ㋐ 薄束と楔状束 同側の識別のある触圧覚を伝える上行路です。 後索にありますが,後外側溝から中心(後正中溝)に向けて,頚髄,胸髄,腰髄,仙髄の伝導路が並んでいます。 伝導路は,脊髄後根から入り,脊髄内で交叉せず,同側を通り,髄で交叉します。 そこで、 この部位を損傷すると,同側の識別性触圧覚が損なわれます。 ㋑ 外側脊髄視床路 対側の温痛覚などを伝えます。 伝導路は,脊髄後根から入って前索で左右交叉して,対側の外側脊髄視床路に行ってから脳に上ります。 そこで, この部位を損傷すると,対側の温痛覚が損なわれます。 ㋒ 前脊髄視床路 対側の 粗大性触圧覚 (意識に上がらない)を伝える上行路です。 この部位を損傷すると,対側の粗大性触圧覚が損なわれます。 ㋓ 脊髄小脳路 下半身の 対側の 粗大性触圧覚 (意識に上がらない)を伝える上行路です。 この部位を損傷すると,対側の粗大性触圧覚が損なわれます。 なお,上半身の粗大性触圧覚は,同側の楔状束が伝導路です。 エ 下行路(下行性伝導路)(運動伝達) 【主要下行路】 方向 脊髄の部位 運動の内容 同対 下行路 外側皮質脊髄路 (随意の約8割) 随意運動 (遠位筋,手足等+体幹) 同 前脊皮質脊髄路 (随意の約2割) 随意運動 (体幹・股関節等) 同 前網様体脊髄路 非随意運動 同>対 随意運動は外側皮質脊髄路・前皮質脊髄路, 非随意運動は前網様体脊髄路・前庭脊髄路・赤核脊髄路などが担います。 8)中心性脊髄損傷,非骨傷性脊髄損傷,外傷由来の脊髄症 脊髄損傷は,多くの場合は脊椎(脊柱,背骨)の骨折・脱臼などの骨傷を伴いますが,骨傷を伴わなかったり,中心部に強く損傷が生じる場合があります。 これらについては,必ずしも,用語の定義,使われ方,境界などが明確とは言えず,重なり合う部分もあると見られ,論者によって使い方が異なったり,同じ症状を別の名で呼んでいる場合もあります。 (以下の解説でも,症状や好発事例に重なる部分が見られます) 中心性脊髄損傷 シュナイダーらが発表したもので, 骨傷を伴わない場合が多く, 下肢より上肢に強い麻痺がでる,比較的予後が良い,高齢者の過伸展の場合に多く,高齢者は予後が良くない,脊柱管狭窄の場合に発症しやすく軽度外傷でも生じる,等の指摘があります。 非骨傷性脊髄損傷 文字通り, 骨折・脱臼などの骨傷を伴わない脊髄損傷を言います。 多くの場合,中心性脊髄損傷に当たりますが,厳密には異なる概念です(重なる部分が多いが,一方に当たるが他方に当たらない事案もある。 もっとも,混同して使われる場合も少なくないとの指摘があります)。 下肢より上肢に強い症状がでやすい,回復も下肢先行で手指に障害が残りやすい,高齢者や脊柱管狭窄の場合に軽度外傷で生じやすい,若年者では交通事故による過伸展損傷の場合が多い,等の指摘があります。 外傷由来の脊髄症 実質は脊髄損傷の一種とも言える脊髄症は,脊柱管が狭い日本人に多く,特に高齢者に多く見られます。 外傷由来で発症することも多く,特に,高齢者や脊柱管狭窄の場合には,比較的軽度の 外傷が契機でも発症し,増悪する場合も少なくありません。 増悪するケースでは,上肢のみの初期から四肢不全麻痺に増悪するケースが多く見られます。 もっとも, 自賠責保険の等級認定でも,損害保険会社との示談でも,事故直後から出た症状以外は,事故との因果関係を否定されるのが一般です。 このため,外傷由来の脊髄症で,事故後に症状が増悪したケースでは,訴訟対応を余儀なくされる場合が少なくありません。 (当事務所では,自賠責保険と任意保険会社が14級以外の症状の因果関係を否定した事案で,訴訟により,実質11級相当の判断を得た事例がありますが,非常に困難な訴訟でした) 脊髄症も広い意味で脊髄損傷ですが,脊髄損傷という用語は,通常は,もっと重度の場合に使われることが多く(一般にはFrankel分類A~Cか,Dの中で重いもの),外傷由来の脊髄症の場合には,余り用いられません。 3 脊髄損傷の後遺障害と等級認定 1)位置付け 後遺障害 > 神経系統の機能又は精神の障害 > 中枢神経の障害 > 脊髄の障害 脊髄損傷は,後遺障害の13部位・31系列の中で, 「神経系統の機能又は精神」の障害に分類され,その2区分のうちの 中枢神経の障害に該当します。 中枢神経の障害は, 脳の障害と 脊髄の障害に区分されます。 脊髄損傷の後遺障害の等級認定では,交通事故でも労災でも,1級,2級,3級,5級,7級,9級,12級の可能性があります。 【神経系統の機能又は精神の障害の分類表】 前提となる等級認定ルール ・麻痺の範囲及びその程度を基本とする。 ・せき髄損傷に通常伴って生じる神経因性膀胱障害等の障害も含めた基準になっている。 ・麻痺の範囲と程度は、身体的所見及びMRI、CT等により裏付けられることが必要。 ・主治医の意見書に記載されている麻痺の性状及び関節可動域の制限等の結果と麻痺の範囲と程度との間に整合性があるか否か確認し、必要に応じて調査を行った上で、障害等級を認定する。 特に,自宅介護の場合の将来の介護費用の評価額は,かなり大きな金額になることがあります。 5 当事務所の解決事例(脊髄損傷の事案) 1)交通事故: 被害者請求で1級取得, 病院介護・年金生活者・過失割合ありでも 1億円超を取得した事例 四肢麻痺の事案です。 当事務所による自賠責保険の被害者請求で要介護1級取得,更に任意保険会社にも請求しました。 自宅介護の場合,家族の負担が極めて重く,将来の介護費用が多額に評価されやすいのですが,本件は幸い,病院での長期療養を受けられたケースです(このような場合,逆に賠償額は相当低額になる傾向があります)。 また,年金生活者で,逸失利益も低く認定される可能性がありました。 しかし,将来の介護療養費用(特に福祉終了の可能性や病院介護でも小さくない家族の負担),事故前の稼働可能性,事故状況と過失相殺率(過失割合)などを訴求した結果,最終的に1億円を超える賠償を得ました。 2)労災:後遺障害の 認定支援で1級取得,1級の労災給付に加え, 更に約1億円を取得した事例 四肢麻痺の事案です。 不完全損傷の事例で,運動・知覚機能は相当程度,残存していましたが,労災の後遺障害認定時の書類作成支援(予診票や別紙を代理作成)や病院同行等の認定支援を行い,1級を取得することができ,これにより,更に勤務先から多額の賠償を得ました。 3)交通事故: 被害者請求で5級取得,過失割合があっても, 総額約9500万円取得の事例 対麻痺の事案です。 不完全損傷の事例で,職場復帰も出来ていましたが(ただし,職務内容は大幅に変更),当事務所による被害者請求で5級を取得しました。 賠償金については,職場復帰できているため,特に労働能力喪失率などで争われましたが,最終的に当事務所の主張(喪失率79%)が訴訟で認められました。 また,過失割合でも相当強く争われましたが,人傷保険金を有効活用して,過失割合部分を埋めることが出来ました(訴訟基準差額説)。

次の

脊髄損傷のリハビリ治療

フランケル 分類

ASIA(エイシア)とは ASIA(エイシア)とは、脊髄損傷から起こる運動麻痺や感覚障害などの神経学的症状を確認する検査です。 対象者は脊髄損傷患者になります。 医師、理学療法士、作業療法士が主に評価を行います。 評価場所はベッドサイド、訓練室などで行います。 ASIAは、運動麻痺と感覚障害をそれぞれ点数化し、経時的に変化を追跡でき、神経学的診断のみならず、機能障害・損傷タイプ(完全または不全損傷)も表すことができます。 評価の方法 1. 感覚機能評価 仰臥位で、C2からS4〜5の28皮節に定められた標的感覚点の触覚と痛覚を検査し、脱出を0、鈍麻を1、正常を2、検査不能をNTとして点数化します。 そして、右触覚スコアと痛覚スコアの合計点を感覚スコアとします。 検査方法 使用器具:痛覚は安全ピン、触覚は綿棒を用います。 検査部位:標的感覚点を検査します。 標的感覚点がギプスや包帯などで検査できない場合は、同一のデルマトームを検査するようにします。 患者には閉眼か目隠しをしていただき、まず顔面で鋭と鈍を感じさせてから、各標的感覚点を調べるようにします。 安全ピンで触られたとき、鋭と感じるか(チクッと感じますか)、鈍と感じるか(丸く感じますか)を答えてもらい、鋭と鈍を数回繰り返し、10回のうち8回以上正しく答えると正常とします。 鋭と鈍が識別できないときは0点となります。 触覚検査法:患者には閉眼か目隠しをしていただきます。 綿棒を用いて皮膚に触り、1cm以上動かしません。 顔面から触り、各標的感覚点を綿棒で触られた感覚があるかどうか尋ね、その強さが顔面と同じかどうかを答えていただきます。 肛門知覚:S2〜4の皮膚髄節にあたる会陰部(皮膚粘膜移行部の1cm外側)で感覚検査を行います。 知覚が脱落している場合は肛門指診を行い、知覚が存在しているか脱落しているかを評価するようにします。 運動機能評価 C5からS1までの10髄節を代表する筋をkey muscleといいます。 Key muscleに6段階のを行い、0〜5の得点を記録します。 筋力評価点の合計が運動スコアとなり、残存運動機能を数量的に評価する指標になります。 筋力検査法:仰臥位で、各key muscleをMMTで調べます。 神経学的損傷高位 実際に損傷された髄節ではなく、機能が残存している最下位の髄節で表現します。 神経損傷高位は左右対称でないことが多く、C4以上、T2からL1までのkey muscleは存在しません。 key muscleが存在しない部分での脊髄損傷の神経学的高位は、知覚検査で診断するようにします。 完全麻痺と不全麻痺の鑑別 完全麻痺は最下位仙髄(S4〜5)の運動と知覚が完全に喪失している場合と定義されています。 不全麻痺は、知覚不全麻痺で随意的な肛門括約筋の収縮があるか、または損傷高位よりも3髄節以上尾側での運動が保たれていなければいけません。 評価表は、下記を参照ください。 ASIAのメリットとデメリット メリット ・麻痺の高位や麻痺の程度、残存機能を網羅することができます。 ・初期の変化をとらえるには便利です。 デメリット ・慢性期では数値が変化しないので、神経学的症状の確認は難しくなります ・慢性期では数値が変化しないので、むしろ神経学的な麻痺の高位を示すこ とが多くなります。 ブログ運営者 大原 修 取得資格 言語聴覚士(12年目) 趣味 ブログ、サイト作成、一人酒 メッセージ 当ブログをご覧いただきましてありがとうございます。 言語聴覚士の大原修と申します。 当ブログでは、リハビリテーション病院で働く日々の中で勉強したことをまとめて掲載しています。 リハビリテーションに関する記事を主に執筆していますが、リハビリテーションに関わる方へ少しでもお役に立てれば幸いです。 免責事項 当ブログに掲載されている情報の正確さについて可能な限り努力をしていますが、その正確性や適切性に問題がある場合、告知無しに情報を変更・削除する事があります。 当ブログの情報を用いて行う一切の行為、被った損害・損失に対しては、一切の責任を負いかねます。 ご了承ください。 連絡先 info rehabilidata. com.

次の

脊髄損傷

フランケル 分類

交通事故・労災事故で脊髄損傷を負われた方は,是非,脊髄損傷に強い当事務所にご相談ください。 後遺障害の等級認定もサポートします。 【目次】 1 脊髄損傷とは,脊髄とは 1)脊髄損傷とは 脊髄損傷とは,脳から続く中枢神経である 脊髄が,強い外力を受けて損傷し,運動・感覚・自律神経に麻痺や障害を生じた状態を言います。 重篤な後遺障害を残す場合が少なくありません。 脊髄は一度損傷されると修復・再生されないため,回復は見込めず,残存機能の維持・強化を図るリハビリテーションが重要となります。 脊髄は, 頚髄(頸髄)・胸髄・腰椎・仙髄・尾髄に区分されます。 頚髄(頸髄),胸髄,腰髄などの損傷も脊髄損傷に含まれます。 交通事故・転落などの高エネルギー外傷による場合が大半ですが,近時は高齢者の転倒による場合も増えています。 2)脊髄とは 脊髄とは,脳から続く中枢神経です(下図)。 脊柱(背骨)を構成する椎骨(脊椎)の中の,椎孔(集合で脊柱管)と呼ばれる空間を通っています。 上図左より「脳と脊椎・脊髄」「脊椎・脊髄の種類」「脊椎・脊髄の側面図」(以上3つは側面図)「脊椎(胸椎)を上から見た図」(上右端)「脊髄の断面図」(右下)(以上2つは上から見た図) 脊髄から枝分かれした脊髄神経が,椎骨(脊椎)間の隙間の 椎間孔から出ています。 脊髄も,脊椎の椎間孔・脊髄神経に対応して31の脊髄分節に分かれています。 なお,頚椎(頸椎)がC1~C7の7つであるのに対して,頚髄(頸髄)はC1~C8と1つ多く,高位は下図のようにズレがあります。 例えば,C5/6の椎間板が後方突出して脊髄を圧迫する場合,圧迫される髄節はC7になります。 ズレは,下部に行けば,一層大きくなり,腰髄があるのは胸椎の高位になります(上図左から2番目)。 3)脊髄損傷による障害の部位と範囲 個々の脊髄分節・脊髄神経は,身体の決まった皮膚領域(デルマトーム)と対応しています。 かかる対応やMRI画像などにより,どの高さで脊髄損傷を受けたか診断することを, 高位診断と言います。 脊髄は,脳から身体に信号を伝達し,身体からの信号を脳に伝達しています。 このため, 上位の部位が損傷するほど,損傷部位から下の部位との連絡が阻害され,運動・知覚・自律神経の障害範囲が広くなります。 たとえば, 第3頚髄節(C3)以上の脊髄損傷(頚髄損傷)による麻痺の場合,横隔膜の機能が損なわれ,自発呼吸ができなくなり,人工呼吸器を使うことになります。 横隔膜は第3~第5頚髄節(C3~C5)に支配神経がありますので,逆に,C4以下の脊髄損傷の場合は,横隔膜の機能がどの程度残存しており維持できるかが,重要になります。 2 脊髄損傷の種類(分類) 1)完全損傷,不完全損傷 損傷の程度による分類です。 交通事故でも労災でも, 後遺障害の等級認定で重要です。 完全損傷 完全損傷は,脊髄を横断した脊髄損傷により,脊髄の神経伝達機能が完全に壊れた状態です。 運動麻痺・感覚麻痺(知覚麻痺)の両方が報じます(完全麻痺)(フランケル分類・ASIAスケール「A」)。 ・脳からの命令が届かず,運動機能が失われます(運動麻痺)。 ・脳に情報を送られず,知覚機能も失われます(知覚麻痺)。 不完全損傷 不完全損傷は,脊髄の一部が損傷し,一部機能が残った状態です。 僅かな知覚機能のみ残ったもの(運動完全麻痺,フランケル分類・ASIAスケール「B」)から,ある程度運動機能も残ったものまであります。 2)Frankel分類とASIA機能障害スケール 脊髄損傷の臨床医学上の重症度評価の区分では, Frankel分類(フランケル分類)とASIA機能障害スケールが著名です。 GradeAが完全麻痺,B~Dが不完全麻痺です。 Grade フランケル Frankel 分類 ASIA機能障害スケール A 運動・知覚の完全麻痺(障害レベル以下) S4・5まで運動知覚が完全喪失 B 運動完全麻痺(部位同上),知覚残存 運動完全麻痺,知覚はS4・5で残存 C 非実用的な運動残存,歩行不能 障害レベル以下で運動機能(筋力3未満) D 実用的運動残存(多くは歩行可能) 障害レベル以下で運動機能(筋力3以上) E 回復(反射異常は残ってもよい) 運動・知覚とも正常 3)四肢麻痺,対麻痺,片麻痺,単麻痺 症状範囲による分類です。 後遺障害の等級認定において重要です。 両上肢・両下肢の麻痺が残る場合。 両下肢に麻痺が残る場合 片方の上肢・下肢に麻痺が残る場合 上肢か下肢の左右1つに麻痺が残る場合 4)脊髄損傷高位と日常生活レベル 脊髄損傷による障害は,損傷を受けた高位(髄節の位置)により異なります。 損傷・麻痺の程度が重くても, 損傷部位より上位では,機能が残存します(下表の機能残存筋はMMT3以上が目安)。 部位 機能残存筋 key muscle 運動機能と ADL(日常生活活動) C1 ~3 胸鎖乳突筋 僧帽筋 四肢麻痺 全介助 人工呼吸器(自発呼吸不可) C4 横隔膜 四肢麻痺・全介助 自発呼吸 顎関節使用の電動車いす C5 三角筋 上腕二頭筋 肩の運動と肘屈曲ができる ノブ月ハンドリム標準車椅子 カフベルトで食事・歯磨き C6 橈側手骨伸筋, 大胸筋 手首をそらすことができる 寝返り動作,起居動作, 更衣 車椅子からベッドに前方移乗 C7 上腕三頭筋 橈側手根屈筋 肘を伸ばすことができる 一部介助~ほぼ自立 車いす駆動・移乗,入浴 C8 ~ T1 手指屈筋 手内在筋 手指を曲げられる 身の回り動作はほぼ自立 箸の利用,更衣のボタン実施 T12 腹筋群 胸椎部背筋群 長下肢装具とクラッチで歩行 (実用は車いす) L3 ~4 大腿四頭筋 単下肢装具(+杖)で実用歩行 【上表の主要残存筋と対応髄節】 5)麻痺が高度,中等度,軽度 症状の程度による分類です。 後遺障害の等級認定上で重要な概念です。 (医学上の概念というよりも,等級認定上の概念です。 7)脊髄の断面・神経伝達路 完全損傷の場合,損傷の縦の位置が重要ですが, 不完全損傷では,断面のどの部分が損傷を受けたのかも重要です( 横位診断)。 損傷を受けた場所と対応した部位に麻痺・障害が生じます。 高位診断と比較すると,横位診断は複雑で困難です。 ア 脊髄断面の概要 大脳は白質が内部,灰白質が外部にありますが, 脊髄では,灰白部(後角,前角,中間質など)が内部,白質(後索,側索,前索など)が外側にあります。 白質には神経線維が,灰白質には神経細胞体が集積しています。 イ 上行路と下行路 上行路は,身体から脳に向けて信号を伝達します。 上行路が損傷すると, 知覚機能(感覚機能)に麻痺・障害を生じます。 下行路は,脳から身体に向けて信号を伝達します。 下行路が損傷すると, 運動機能に麻痺・障害を生じます。 ウ 上行路(上行性伝導路)(知覚伝達) ㋐ 識別ある触圧覚・深部感覚等を伝える薄束・楔状束(後索)・・・最重要 ㋑ 痛覚・温度覚等を伝える 外側脊髄視床路 ㋒意識に上らない触圧覚( 粗大性触圧覚)を伝える 前 脊髄視床路 ㋓意識に上らない深部感覚を伝える 脊髄小脳路 【上行路(上行性伝導路)(右側は対応部位)】 方向 脊髄の部位 伝える感覚 同対 上行路 薄束・楔状束 識別性触圧覚 同側 外側脊髄視床路 温痛覚 対側 前脊髄視床路 粗大性触圧覚 対側 脊髄小脳路 非識別性深部感覚 (下半身) 対側 ㋐ 薄束と楔状束 同側の識別のある触圧覚を伝える上行路です。 後索にありますが,後外側溝から中心(後正中溝)に向けて,頚髄,胸髄,腰髄,仙髄の伝導路が並んでいます。 伝導路は,脊髄後根から入り,脊髄内で交叉せず,同側を通り,髄で交叉します。 そこで、 この部位を損傷すると,同側の識別性触圧覚が損なわれます。 ㋑ 外側脊髄視床路 対側の温痛覚などを伝えます。 伝導路は,脊髄後根から入って前索で左右交叉して,対側の外側脊髄視床路に行ってから脳に上ります。 そこで, この部位を損傷すると,対側の温痛覚が損なわれます。 ㋒ 前脊髄視床路 対側の 粗大性触圧覚 (意識に上がらない)を伝える上行路です。 この部位を損傷すると,対側の粗大性触圧覚が損なわれます。 ㋓ 脊髄小脳路 下半身の 対側の 粗大性触圧覚 (意識に上がらない)を伝える上行路です。 この部位を損傷すると,対側の粗大性触圧覚が損なわれます。 なお,上半身の粗大性触圧覚は,同側の楔状束が伝導路です。 エ 下行路(下行性伝導路)(運動伝達) 【主要下行路】 方向 脊髄の部位 運動の内容 同対 下行路 外側皮質脊髄路 (随意の約8割) 随意運動 (遠位筋,手足等+体幹) 同 前脊皮質脊髄路 (随意の約2割) 随意運動 (体幹・股関節等) 同 前網様体脊髄路 非随意運動 同>対 随意運動は外側皮質脊髄路・前皮質脊髄路, 非随意運動は前網様体脊髄路・前庭脊髄路・赤核脊髄路などが担います。 8)中心性脊髄損傷,非骨傷性脊髄損傷,外傷由来の脊髄症 脊髄損傷は,多くの場合は脊椎(脊柱,背骨)の骨折・脱臼などの骨傷を伴いますが,骨傷を伴わなかったり,中心部に強く損傷が生じる場合があります。 これらについては,必ずしも,用語の定義,使われ方,境界などが明確とは言えず,重なり合う部分もあると見られ,論者によって使い方が異なったり,同じ症状を別の名で呼んでいる場合もあります。 (以下の解説でも,症状や好発事例に重なる部分が見られます) 中心性脊髄損傷 シュナイダーらが発表したもので, 骨傷を伴わない場合が多く, 下肢より上肢に強い麻痺がでる,比較的予後が良い,高齢者の過伸展の場合に多く,高齢者は予後が良くない,脊柱管狭窄の場合に発症しやすく軽度外傷でも生じる,等の指摘があります。 非骨傷性脊髄損傷 文字通り, 骨折・脱臼などの骨傷を伴わない脊髄損傷を言います。 多くの場合,中心性脊髄損傷に当たりますが,厳密には異なる概念です(重なる部分が多いが,一方に当たるが他方に当たらない事案もある。 もっとも,混同して使われる場合も少なくないとの指摘があります)。 下肢より上肢に強い症状がでやすい,回復も下肢先行で手指に障害が残りやすい,高齢者や脊柱管狭窄の場合に軽度外傷で生じやすい,若年者では交通事故による過伸展損傷の場合が多い,等の指摘があります。 外傷由来の脊髄症 実質は脊髄損傷の一種とも言える脊髄症は,脊柱管が狭い日本人に多く,特に高齢者に多く見られます。 外傷由来で発症することも多く,特に,高齢者や脊柱管狭窄の場合には,比較的軽度の 外傷が契機でも発症し,増悪する場合も少なくありません。 増悪するケースでは,上肢のみの初期から四肢不全麻痺に増悪するケースが多く見られます。 もっとも, 自賠責保険の等級認定でも,損害保険会社との示談でも,事故直後から出た症状以外は,事故との因果関係を否定されるのが一般です。 このため,外傷由来の脊髄症で,事故後に症状が増悪したケースでは,訴訟対応を余儀なくされる場合が少なくありません。 (当事務所では,自賠責保険と任意保険会社が14級以外の症状の因果関係を否定した事案で,訴訟により,実質11級相当の判断を得た事例がありますが,非常に困難な訴訟でした) 脊髄症も広い意味で脊髄損傷ですが,脊髄損傷という用語は,通常は,もっと重度の場合に使われることが多く(一般にはFrankel分類A~Cか,Dの中で重いもの),外傷由来の脊髄症の場合には,余り用いられません。 3 脊髄損傷の後遺障害と等級認定 1)位置付け 後遺障害 > 神経系統の機能又は精神の障害 > 中枢神経の障害 > 脊髄の障害 脊髄損傷は,後遺障害の13部位・31系列の中で, 「神経系統の機能又は精神」の障害に分類され,その2区分のうちの 中枢神経の障害に該当します。 中枢神経の障害は, 脳の障害と 脊髄の障害に区分されます。 脊髄損傷の後遺障害の等級認定では,交通事故でも労災でも,1級,2級,3級,5級,7級,9級,12級の可能性があります。 【神経系統の機能又は精神の障害の分類表】 前提となる等級認定ルール ・麻痺の範囲及びその程度を基本とする。 ・せき髄損傷に通常伴って生じる神経因性膀胱障害等の障害も含めた基準になっている。 ・麻痺の範囲と程度は、身体的所見及びMRI、CT等により裏付けられることが必要。 ・主治医の意見書に記載されている麻痺の性状及び関節可動域の制限等の結果と麻痺の範囲と程度との間に整合性があるか否か確認し、必要に応じて調査を行った上で、障害等級を認定する。 特に,自宅介護の場合の将来の介護費用の評価額は,かなり大きな金額になることがあります。 5 当事務所の解決事例(脊髄損傷の事案) 1)交通事故: 被害者請求で1級取得, 病院介護・年金生活者・過失割合ありでも 1億円超を取得した事例 四肢麻痺の事案です。 当事務所による自賠責保険の被害者請求で要介護1級取得,更に任意保険会社にも請求しました。 自宅介護の場合,家族の負担が極めて重く,将来の介護費用が多額に評価されやすいのですが,本件は幸い,病院での長期療養を受けられたケースです(このような場合,逆に賠償額は相当低額になる傾向があります)。 また,年金生活者で,逸失利益も低く認定される可能性がありました。 しかし,将来の介護療養費用(特に福祉終了の可能性や病院介護でも小さくない家族の負担),事故前の稼働可能性,事故状況と過失相殺率(過失割合)などを訴求した結果,最終的に1億円を超える賠償を得ました。 2)労災:後遺障害の 認定支援で1級取得,1級の労災給付に加え, 更に約1億円を取得した事例 四肢麻痺の事案です。 不完全損傷の事例で,運動・知覚機能は相当程度,残存していましたが,労災の後遺障害認定時の書類作成支援(予診票や別紙を代理作成)や病院同行等の認定支援を行い,1級を取得することができ,これにより,更に勤務先から多額の賠償を得ました。 3)交通事故: 被害者請求で5級取得,過失割合があっても, 総額約9500万円取得の事例 対麻痺の事案です。 不完全損傷の事例で,職場復帰も出来ていましたが(ただし,職務内容は大幅に変更),当事務所による被害者請求で5級を取得しました。 賠償金については,職場復帰できているため,特に労働能力喪失率などで争われましたが,最終的に当事務所の主張(喪失率79%)が訴訟で認められました。 また,過失割合でも相当強く争われましたが,人傷保険金を有効活用して,過失割合部分を埋めることが出来ました(訴訟基準差額説)。

次の