アセチル サリチル酸。 アスピリン(アセチルサリチル酸)の合成

アセチルサリチル酸(アセチルサリチルサン)とは

アセチル サリチル酸

実験の途中で,きっとよく知っている「におい」が登場します。 1.芳香族カルボン酸の水溶液は何性を示しますか? 弱い酸性 2.フェノール類に塩化鉄(III)FeCl 3水溶液を加えると,どのような変化が起こりますか? 青や紫などの特有の呈色反応を示す。 <サリチル酸の性質> 1 試験管にサリチル酸C 6H 4(OH)COOHを小さじ1杯とり,蒸留水5mL加えてよく振る。 溶けなければ加熱する。 2 1のサリチル酸の水溶液の液性を,pH試験紙で調べる。 3 1のサリチル酸の水溶液に塩化鉄(III)FeCl 3水溶液を1〜2滴加える。 実験結果を確認しましょう。 サリチル酸は冷水に溶けにくいですが,温めると溶けるようになります。 フェノールよりも親水性の効果が大きいと考えることができます。 また,サリチル酸の水溶液は酸性で,塩化鉄(III)水溶液を加えると赤紫色に呈色します。 <酸としての強さの比較> 4 試験管に飽和炭酸水素ナトリウムNaHCO 3水溶液を2mL とり,これに小さじ半分ほどのサリチル酸を加える。 さらに,塩酸HClを約1mL (気泡が出なくなるまで)加える。 実験結果を確認しましょう。 4ではCO 2を発生しながら溶けますから,サリチル酸の方が酸性が強いことがわかります。 また,塩酸を加えると,炭酸水素ナトリウムとの反応で気体(二酸化炭素)を発生し,サリチル酸の結晶が析出します。 サリチル酸の塩が遊離するからです。 しかし,加える塩酸が少ないと,結晶が析出しません。 二酸化炭素が出なくなるまで塩酸を加えた方がよいですね。 塩酸・硫酸>スルホン酸>カルボン酸>炭酸>フェノール類 ・ > > > > <サリチル酸メチルの合成> 5 乾いた試験管 にサリチル酸0.5gをとり,これにメタノールを5mL加えて溶かし,さらに濃硫酸0.5mLを少しづつ加える。 (ときどきビーカーから試験管を出して振ること) 6 ビーカーに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を20mL入れ,5の溶液を注ぐ。 実験結果を確認しましょう。 強い芳香をもった無色の液体ができましたね。 これは知っているにおいです。 さて,何のにおいでしょう? 消炎鎮痛剤のにおいですね。 消炎鎮痛の湿布やぬり薬には,サリチル酸メチルが含まれています。 炭酸水素ナトリウムは未反応のサリチル酸や硫酸と反応して,二酸化炭素が発生します。 このとき,サリチル酸メチルは油状になって,ビーカーの底で分離しています。 <アセチルサリチル酸の合成> 7 乾いた試験管 にサリチル酸を1gとり,無水酢酸を2mL加えて溶かす。 8 濃硫酸を5滴,よく振りながら加え,5分間よく振る。 9 試験管に蒸留水10mL加えた後,氷水につけて冷却し,結晶を析出させる。 10 試験管に9の結晶を少量とり,水を5mL加えて溶かした後,塩化鉄(III)水溶液を1〜2滴加える。 実験結果を確認しましょう。 白色の針状結晶が得られます。 これはアセチルサリチル酸です。 アセチルサリチル酸は解熱鎮痛剤に用いられています。 アセチルサリチル酸はフェノール類でなくなっているため,塩化鉄(III)水溶液を加えても,呈色反応を示しません。 それでは,考察です。 意外に思った人も多いのではないでしょうか。 この章の実験のポイントは,次の通りです。 1.サリチル酸は水に溶けにくいですが,水溶液は酸性を示します。 2.サリチル酸は炭酸より強いです。 したがって,炭酸水素ナトリウム水溶液にサリチル酸を加えると,サリチル酸の塩ができ,炭酸が遊離して二酸化炭素を発生します。 3.サリチル酸をメタノールでエステル化すると,サリチル酸メチルができますサリチル酸メチルは外科用塗布剤に用いられます。 4.サリチル酸を無水酢酸でアセチル化すると,アセチルサリチル酸ができます。 アセチルサリチル酸は解熱剤として用いられます。

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アスピリン(アセチルサリチル酸)の合成

アセチル サリチル酸

contents• アセチル基によるアルコールの保護 アセチル基はCH 3CO-からなる官能基です。 アセチル基は様々な化学構造中に含まれているメジャーな官能基でアルコールやアミンの保護基としてもよく使用されています。 アセチル基はエステル系のアルコールの保護基で、 弱めの酸性条件、弱めのヒドリド還元、接触還元には耐えますが、 塩基性や求核剤、強酸条件では脱保護されます。 保護基としてはあまり強いほうではありませんが、安価な無水酢酸で保護できるのでコストが低く、水酸基が多い糖類の水酸基の保護によく利用されます。 保護反応も高収率で進行し、脱保護もしやすいです。 アセチル基保護の特徴・利点 アセチル基で保護する利点や特徴は• 保護にかかるコストが低い• 安価かつ簡便に保護・脱保護可能 保護化試薬は無水酢酸がよく利用されます。 無水酢酸は非常に安価 500 mL, 1,980円 で取り扱いやすいです。 他にはアセチルクロリド AcCl なども使用されます。 欠点としては• 耐える条件が限られている 求核剤や強ヒドリド還元 DIBAL等 、塩基性・強酸性条件で脱保護される などが欠点です。 反応経路にもよりますが、一時的な保護として使用されることが多いかもしれません。 アセチル基保護・脱保護の反応機構 反応機構ー保護 酸無水物を用いたアルコールのアシル化反応です。 無水酢酸を活性化させるために4-DMAPが加えられることがあります。 4-DMAPは無水酢酸と反応することによって、活性アシル中間体を形成します アセテートよりも4-DMAPカチオンのほうが脱離しやすいため。 この活性中間体にアルコールが攻撃して、アセチル化が完了します。 反応機構ー脱保護 脱保護は塩基性条件下で行われることが多いです。 塩基性条件下では、水酸化物イオンがアセチル基に攻撃し、アルコキシドが生成しますが、これは塩基性が高いのですぐに酢酸と反応して酢酸ナトリウムが生成し、アルコール体となります。 水酸基のアセチル基保護の反応条件 アセチル化の反応は安価で扱いやすい無水酢酸を用いることが多いですが、 反応性の悪いアルコールでは塩化アセチル 酸無水物 を用いることもあります。 触媒としてDMAPを加えるても良いです。 塩基は無くても進行しますが、ピリジンを塩基性の溶媒としても用いたり、トリエチルアミン、酢酸ナトリウムなども使います。 酸触媒としてルイス酸を用いることもあります。 無水酢酸によるアルコールの保護 DCM 1. 49 mL にアルコール体 37. 2mg, 74. 22 mmol と無水酢酸 21. 22mmol の混合溶液と4-DMAPの結晶を一欠片加えて室温で一晩撹拌した。 反応後、EtOAc 20mL で希釈し、0. 1N HCl水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム溶液及びブライン 各10mL で洗浄した。 粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー 1%MeOH in DCM で生成して目的物を得た 82% )。 Matthies, Stephan et al. JACS. 2015, 137, 2851. より引用。 第一、ニ、三級アルコールが存在する場合、第二級に対して 第一級アルコールが優先してアセチル化され、 第三級アルコールの保護は4-DMAPを加えないと進行しません。 上記反応例では、二級アルコール体を得るために、アルコールを過剰に加えています。 無水酢酸とルイス酸を用いたアルコールのアセチル保護 アルコール体(1. 0 eq, 1. 65 mmol をTHF 5. 0mL およびBF3・Et2O 0. 75 eq, 1. 合わせた有機相をブラインで洗浄し、乾燥し MgSO4 減圧下で濃縮した。 粗生成物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー 3:17,酢酸エチル:ヘキサン によって精製して、保護体 83% を得た。 Weinert , Emily E. et al. JACS. 2006, 128, 11947. BF3を用いた手法では、フェノールよりもアルコールが優先して保護されます。 その他のアセチル化保護条件 よく利用される塩基触媒:ピリジン、トリエチルアミン、ショッテンバウマン条件 AcCl,NaHCO3 、AcONa、DIEA、イミダゾール よく利用される酸触媒:酢酸、トシル酸、 BF 3・Et 2O 溶媒:ジクロロメタン、ピリジン、アセトニトリル、THF アセチル基の脱保護反応例 アセチル基の脱保護は、• 塩基加水分解条件• ヒドリド還元• 酸加水分解条件 などの脱保護条件があります。 この中では塩基性条件がマイルドで外しやすいと思います。 0 eq, 7. 43 mmol を溶解し、炭酸カリウム 1. 0eq、1. 02g,7. 残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー シリカ、ジエチルエーテル /ヘキサン、10~30% で精製して、目的物を得た 100% 炭酸カリウムや水酸化ナトリウムを使った脱保護は一般的で信頼性が高いです。 脱保護条件 よく利用される塩基触媒:NaOH、KOH、K 2CO 3、NaOMe、NH 3 よく利用される酸触媒:HCl 還元剤:LAH 求核剤:MeMgBr 溶媒:メタノール、THF、EtOH、ジクロロメタン 注意事項ーTips• 無水酢酸などは酢酸臭があるのでドラフトなどで取扱う。 無水酢酸を大過剰量用いるときは、クエンチ時に暴走しないように冷却するなど気をつける。 参考まとめ Wuts, Peter G. 273. Wiley.

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アセチルサリチル酸の合成

アセチル サリチル酸

アセチルサリチル酸の結晶体。 アセチルサリチル酸は以下の手順で合成される。 を高温と高圧の下でとと反応させて、の二ナトリウム塩を合成する。 このカルボキシ化は Kolbe-Schmitt reaction と呼ばれ、フェノラートアニオンはによりオルト位の求核性が高まり、これが二酸化炭素に対して求核付加反応する。 後処理で二ナトリウム塩を希で中和し、サリチル酸を遊離させる。 このサリチル酸にを作用させてし、アセチルサリチル酸を得る。 日本での製品 現在、株式会社が製造販売する「アスピリン」と、アスピリンに制酸緩衝剤(・系)を加えたの「」、粉末状で胃粘膜保護のため、和漢()が加えられたの広告としても有名なの「」が特に知られており、それぞれ複数の企業から、局方品や相当の製品が発売されている。 ここではバイエルのアスピリンについて記載する。 バイエルアスピリン 1錠あたりアセチルサリチル酸500 mg(高用量)を含有するのシンプルな製品で、10月から日本でがバイエルと提携して発売し、10月からはが発売している。 である。 適応症は、解熱や頭痛・外傷痛など各種の鎮痛。 のAよりも、1錠あたりのアセチルサリチル酸そのものの量が多く、制酸剤を含まない事から、効果そのものは強い。 ただし、への負担を軽くする制酸剤を含まないため、使用上の注意に「胃・十二指腸潰瘍を起こしている人」は服用しないようにとの但し書きがある。 を含むバファリンの場合は、同症状の場合、医師または薬剤師に相談せよとはあるものの、服用してはいけないとは書かれていない。 処方箋医薬品 で、領域などでも抗凝血を目的に使われることがあるが、出産予定日12週以内の妊婦には禁忌である。 近年、の死亡率低下作用が期待されている。 バイアスピリン錠100 mg 1錠あたりアセチルサリチル酸100 mgを含有する。 低用量のアセチルサリチル酸を投与すると、抗血小板作用が現れることで、、日本循環器学会からの抗血小板剤としての承認・発売要望などから、付厚生省医薬審第104号通知「適応外使用に係る医療用医薬品の取り扱いについて」 の適応条件に本剤が該当すると判断し承認申請、秋に・、虚血性の血栓塞栓形成抑制の効果で承認・薬価収載され、1月に発売された。 に対しても、臨床的に有効かつ安全な治療法であることが実証されていることから、本剤の追加効能として承認事項一部変更承認申請を行ない、その後、日本小児循環器学会から厚生労働省に対して要望書が提出され、に承認、川崎病の治療にも適用が拡大された。 アスピリン「バイエル」(粉末) 乳幼児向けの投薬量が調整しやすいように、新規にアセチルサリチル酸の粉剤を開発しに発売された。 の治療のほか、バイエルアスピリンと同様の解熱鎮痛にも適用されている。 歴史 バイエルアスピリンの広告(1904年)なども宣伝されている。 アセチルサリチル酸は世界で初めて人工合成された医薬品である。 にバイエル社によって「アスピリン」のが登録され発売された。 翌には粉末を錠剤化。 発売してからわずかな年月で鎮痛薬の一大ブランドに成長し、なかでも米国での台頭はめざましく、初頭には、全世界のバイエルの売り上げのうち3分の1を占めた。 しかし、のドイツの敗戦でによって商標は取り上げられ、、敵国財産没収によりバイエルの「商標」「社名」、そして「社章(バイエルクロス)」までもが競売にかけられた。 この時から76年間、にバイエルが全ての権利を買い戻すまで、米国ではバイエル社製のアスピリンは姿を消すが、しかしこの間もアスピリンは権利を買い取ったスターリング社によって製造される。 その商品名には「バイエルアスピリン」がそのまま使われ、しかもバイエルクロス付きで売られ続けた。 「バイエルアスピリン」というブランドがいかに人々の信頼を得ていたかを示すエピソードのひとつであったとも言える。 後のではやなどによる社会的ストレスから アセチルサリチル酸を服用する人々が激増しアスピリンエイジという言葉が生まれたほどであった [ ]。 アセチルサリチル酸はを緩和するものの、脳がつかさどるの治療には役立たないことが現在では知られている。 しかし、当時の医学ではととの関係は不明瞭であったため、アセチルサリチル酸が用いられた。 Medscape Reference. WebMD. 2014年4月3日閲覧。 Martindale: The Complete Drug Reference. Pharmaceutical Press 2014年1月14日. 2014年4月3日閲覧。 BMJ 336 7635 : 88—92. January 2008. American Family Physician 83 3 : 271—80. February 2011. TheScientificWorldJournal 10: 490—503. March 2010. Cell Biochemistry and Function 26 7 : 741—6. October 2008. American Family Physician 80 12 : 1472. December 2009. American Academy of Pediatrics. 2013年2月18日時点のよりアーカイブ。 2012年11月25日閲覧。 United States Federal Register 51 45. 7 March 1986. の19 August 2011時点におけるアーカイブ。 2012年11月25日閲覧。. 2010年閲覧• : nonpyrazolone drug• : pyrazolone drug• 英語ではアスピリンの「ピリン」は「 pirin」と綴り、ピリン系の「ピリン」は「 pyrine」と綴る。 2016年7月時点の [ リンク切れ]よりアーカイブ。 2016年7月1日閲覧。 2016年7月1日閲覧。 2016年7月1日閲覧。 日経メディカルオンライン 2009年閲覧• 厚生省医薬安第104号 1999年2月1日. 2010年5月1日閲覧。 塩沢俊一『膠原病学』丸善出版、2012年、第5版、110頁。 Rainsford, K. , ed 2004. Aspirin and Related Drugs. London: CRC Press. パウラ・Y・ブルース『ブルース有機化学』下、大船泰史、香月勗、西郷和彦、富岡清(監訳)、化学同人、2009年、第5版、822頁。

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